SAD(社会不安障害)と生きる

社会(社交)不安障害の当事者です。症状のことや対処法について、のんびりと書いてます。

心療内科とお薬の話

社会不安障害への対処方法としては、薬物療法(病院で薬を処方してもらって飲む)、精神療法(カウンセリングなどを受ける)が主なものだと思いますが、私の対処法としては・・・

 

①とりあえず症状を耐え忍ぶ⇒②どうにもならなくなって病院で薬をもらう⇒③症状が出そうなときだけ薬を飲む⇒④症状は相変わらず⇒①に戻って、とりあえず症状を耐え忍ぶ、という無限ループでした。こうしたループを10年以上続けて、いよいよこのままじゃダメなんじゃない?と思って、カウンセリングを受けたり、自助グループに参加するようになりますが、それはだいぶ先の話です。しばらくは薬物療法(療法と呼べるほど大したものではないですが・・・)で対処しようとしていたので、これまで通院していた心療内科や処方されていたお薬について書こうと思います。

 

大抵の心療内科がそうだと思いますが、初診の際に症状について多少詳しく聞いて薬を出す(せいぜい10~15分くらい。自分が、いろいろ詳しく話せばもっと長い時間を掛けて聞いてくれるのかもしれませんが、そもそも社会不安障害だし自分のこと話すのも苦手だしでそんなの無理)。その後の診察は、医者が「その後どうですか。」と聞いて、私(患者)が「やはり緊張がなかなか取れなくて。」とか「最近、あまり眠れなくて。」とか「薬を飲むと眠くなっちゃうんですが。」とか答えて、医者が「じゃあ、この薬を追加しましょう。」とか「この薬に変更しましょう。」と言って終わる(この間2~3分)。

 

よく言われることだと思いますが、病院に行くと自分が一人の人間として扱われずに、症状のサンプルみたいに扱われるような気持ちになります。病院では、症状のことしか聞かれない、でも、症状それだけが存在するわけではなくて、症状には苦しさや情けなさや不安がくっついているわけで、そこに関心を持ってもらえないことへの違和感はずっとありました。だから病院って嫌いなんだー ( `Д´)ノ!!!!

 

しかし、病院というか薬に頼らざるを得ないのも事実・・・

 

社会不安障害の治療に使われる薬は、「SSRI」「TCA(三環系抗うつ薬)」「ベンゾジアゼピン系抗不安」(長いので以下「抗不安薬」)「βブロッカー」などそれぞれ作用の異なる薬が症状などによって使い分けられるようですが、私の場合は、「SSRI」と「抗不安薬」を処方されたことがあります*1

 

SSRI」は、抗うつ薬として使われる薬の一種でうつ病だけでなく社会不安障害にも効果があることが認められているそうです。脳内伝達物質であるセロトニンなどに関連した神経系に作用する薬です。即効性があるわけではないので頓服としては不向きで、定期的にある程度の期間飲み続けることで効果を実感できるようです。

ベンゾジアゼピン系抗不安」は、中枢神経系を抑制するGABAという脳内神経伝達物質に作用する薬で、GABAの脳内作用を増強する働きがあります。GABAの働きを強めることで、脳内の活動がスローダウンし、不安、緊張を和らげることになるらしいです*2

 

私がこれまで処方されたお薬は、ざっと以下のようなものがありました。

SSRI」では、デプロメール(成分名:フルボキサミン)、パキシル(成分名:パロキセチン

ベンゾジアゼピン抗不安薬」では、デパス(成分名:エチゾラム)、ワイパックス(成分名:ロラゼパム)、メイラックス(成分名:ロフラゼブ酸エチル)

 

SSRIに関しては、私がきちんと定期的に薬を飲まなかったので効果は不明。抗不安薬は、自分としてはメイラックスが比較的合っていました。抗不安薬は、薬の強さと持続時間でいくつかのタイプに分かれます。メイラックスは、血中濃度半減期が大変長く、効果が長期間持続します。効果の強さは中程度のようです。

 

抗不安薬 作用時間(半減期 抗不安作用
グランダキシン 短い(1時間未満)
リーゼ 短い(約6時間)
デパス 短い(約6時間) +++
ソラナックス/コンスタン 普通(約14時間) ++
ワイパックス 普通(約12時間) +++
レキソタン/セニラン 普通(約20時間) +++
セパゾン 普通(11-21時間) ++
セレナール 長い(約56時間)
バランス/コントール 長い(10-24時間)
セルシン/ホリゾン 長い(約50時間) ++
リボトリール/ランドセン 長い(約27時間) +++
メイラックス 非常に長い(60-200時間) ++
レスタス 非常に長い(約190時間) +++


(メイラックス錠の効果【医師が教える抗不安薬のすべて】より引用)

 

 

現在は、ワイパックスを頓服として持っていますが、ほとんど飲むことはありません。お守りみたいなものです。

抗不安薬は、飲むとふわーっと気分が穏やかになって確かに緊張がほぐれる感じはあります。しかし、頭がぼんやりする、ろれつが回らなくなる、体がだるくなるといった副作用がありました。そんなに強く副作用が出なくても、私がイメージしている「元気な状態」と薬を飲んでいるときの状態ってどうしても違うんです。

 

私は、緊張でガチガチになることなくクリアに物事を考えられるようになりたい、自分に自信を持って外の世界に出ていきたいと思っていました。薬はその場しのぎとしては役に立つこともあったけど、根本的には病気を治してはくれませんでした。

にほんブログ村 メンタルヘルスブログへ
にほんブログ村


人気ブログランキング

私がやってみたこと(嫌々ながら心療内科へ行く編)

薬局での薬で凌ぐのもしんどくなってきたため、嫌々ながら心療内科に行くことにしました。インターネットで「地名 心療内科」で検索して適当にヒットした病院に行きました。心療内科に行くことをどのように考えるかは、人それぞれだと思いますが、私は「頭のおかしい奴になっちゃったな・・・」というみじめな気持ちでした。

 

差別的な表現で申し訳ないですが、心療内科や精神科の病院に対する偏見っていまだに根強いものがあります。そして、自分が精神障害だからと言って、そうした偏見がないわけではありません。むしろそれまであまり意識していなかった自分の偏見を、精神障害になったことで否応なく意識させられます。

 

とりあえず人前に立つ機会に症状が出なければいい、それだけ乗り切れればいいという思いでした。この病気を何とかしよう、病気と向き合おうという気持ちは皆無。だって正直に症状話したら、おかしい奴だと思われるという強い気持ちがありました。

 

さて、行った病院は住宅街にポツンとある病院で、心療内科のほかに、内科、循環器内科、皮膚科も併設していました。先生に「どうしましたか?」と聞かれたので、「人前で緊張してしまうので、緊張しなくて済むように薬がほしい。」と言いました。

 

本当は、先生に症状を話すのも怖くて、顔がぶるっと震えそうでしたが、そういうことは話さない。人前の発表だけではなくて、人と話すときにも緊張するし、大勢での飲み会とかではほとんど話せなくなるということは全く伝えませんでした。

 

また、人前での緊張だけではなくて、その頃の私は、生活全体がボロボロでした。何とか大学には通っていましたが、常に体がだるく、何もできない自分に対してどうしようもない焦りの気持ちと自己嫌悪の嵐のなかにいました。一人暮らしでしたが、家に帰ると何もやる気が起きず、横になっている時間が多く、歯も磨かず風呂にも入らずに寝てしまうことも日常茶飯事でした。困っていることは山ほどあったけど、そんなことを言ってもおかしい奴だと思われて終わりだという強い信念が(なぜか)あったので、医者には何も伝えませんでした。医者も大して突っ込んで聞くことなく、2、3分だけ話をして終わり。

 

とりあえず、薬を処方してもらい脱兎のごとく病院を後にする。指示通りに薬を飲まず、人前での発表の機会などがあるときにだけ、ガッと規定量以上の薬を飲んでやり過ごす。副作用でやはり体がだるくなるし、薬なんてそもそも飲みたくない。薬がなくなれば、しぶしぶ病院に行くということの繰り返し。大学1、2年生の頃はそんな風に過ぎていきました。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

 


人気ブログランキング

私がやってみたこと(とりあえずお薬編)

プレゼンテーションでガタガタに震えてしまい、どうにもならなくなってしまった私。
しかし、プレゼンテーションの機会はこれから何度もあるので、何とかしなくては!と思いました。

心療内科や精神科の医者に行くのは、できれば避けたい(ここでは詳しく触れませんが、私は、高校生の頃にも心療内科の医者にかかったことがあります。ただ、全く良い思い出はないし、何の役にも立たなかったので、できれば医者に行くのは避けたかったのです、、、)。

とりあえず薬局に行き、「ちょっと緊張しやすくて、発表しなきゃいけない機会があるんですが、良い薬ありませんか~(*´ω`*)?」となるべく平気そうに聞いてみました(ま、でも大分困ってたし、暗い雰囲気まとってたと思いますけど(笑))。薬局の人が教えてくれた薬を飲んで、何とか発表をしのぎました。

薬は確かに効いてくれて、風邪薬飲んだときみたいにぼんやりするというか、ふわーっとなる感じがあって、震えずに済みました。怖くて規定量以上を飲んだというのもあるかもしれませんが、よく効きました。

しかし、感覚は鈍るので緊張感は和らぐのですが、ものすごく体がだるい。飲んだ後にぐったり疲れる。薬局で買った薬を飲む→その場は凌ぐ→猛烈な体のだるみということを何度か繰り返しました。薬局で買える薬の量があまり多くないこともあり、こりゃあ、そろそろ心療内科に行かねばなるまいかと思うようになりました。そして、避けたいと思っていた心療内科に行くことにしました。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキング


人前での発表

高校生の頃は、授業中に先生と目が合うのが苦痛だったわけですが、そこはどうにかこうにかやり過ごしていました。
やり過ごしながらも、自分はどこかおかしいんだという意識は常にありました。ただ、困っているから誰かに相談しようとはならずに、本当の自分を知られたら、みんな私から離れていくに違いない、絶対知られては駄目だと思っていました。
誰かに相談できれば、その後悪化の一途を辿るのを回避できたかもしれませんが、このときは出来ませんでした。

よく1人で悩まずに相談を!って言いますが、相談って実は結構難しくて、相談して受け止めてもらえたっていう経験や人に対する基本的な信頼感がないとなかなか難しいものです。

さて、高校を卒業して大学生になりました。
高校までとは違って、自分でカリキュラムを組まなければいけないし、自由度はグッと増します。

buzzmag.jp



ま、日本の学校ってこんな感じですよね。(海外の事情はよく知りませんけど)

大学の授業で、プレゼンテーションをすることになりました。20人ばかりの学生のまえに立って、パワーポイントを使いながらプレゼンテーションをしたのですが、何だか変です。
足や原稿を持つ手が震える、声が震える、皆の視線が怖くて前を見れない。頭が真っ白になりながら、どうにか原稿を読み切りましたが、とても打ちひしがれた気持ちでした。
高校までは皆の前に立って発表するという機会がなかったので、自分がこれほどまてに震えるとは思っていませんでした。自分の体や声なのに、全く自分でコントロールできずに本当に情けなく、惨めな気持ちでした。
他の学生は私の様子がおかしいのに気付いていたでしょうから、どう思われたかを考えるととても辛かったです。

しかし、これからもプレゼンテーションの機会はあります。この状態を何とかしなくてはと焦りました。これが社会不安障害の症状と初めて向き合わざるをえなくなった瞬間でした。

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキング


人の視線が恐い

私が、社会不安障害の症状に悩まされるようになったのは、高校生の頃からです。

具体的には、授業中に先生と目が合うのが恐くなりました。

 

え、どういうこと?って思いますよね。

多くの人は、先生と目が合うとか合わないってそんなに意識をすることないと思います。私も中学生まではそうでした。

 

でも、高校2年生の頃だったと思いますが、授業中に先生の方を見ていて先生と目が合うと、ぶるっと顔が震えるようになってしまいました。

それを見て先生は変に思ったんじゃないかとか、また先生と目が合ったときに同じようなことが起きるんじゃないかとか、とにかく先生と目を合わせるのが恐くなりました。

震えないようにしようと思えば思うほど、体は緊張し、症状も全くなくなりませんでした。

 

授業中は、先生とはできるだけ目を合わさないように、前を向くとしても黒板を見るか、先生と目が合いそうになると下を向くようにしていました。

こんな自分はどこかおかしんだろうと思い、誰にも相談できませんでした。

 

ただ、高校までって、言われた課題をこなしていれば、何とかやり過ごせたので症状自体のことでそこまで真剣に悩むことはありませんでした。

もともと対人緊張が強く、高校生の頃には、友人の輪に入っていけないとか、人と打ち解けられないことの方が私には大きな悩みでした。

社会不安障害とちゃんと向き合わなければいけないと思うようになったのは、もう少し後になってからでした。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ


社会不安障害って何・・・?

私が社会不安障害と診断されたのは、今から4年ほど前(2013年頃)だったと思います。当時通っていた心療内科で、「社会不安障害ということで診させてもらってるのだけど」と言われて、「ああ、何か聞いたことあるな、その病名。」と思いました。

 

アメリカ精神医学会が定めている精神障害の診断基準であるDSM-5によると、社会不安障害(または社交不安障害)は以下のような症状を持つ場合に当てはまるとされます(以下、ちょっと長くなります)。要は、人から注目されるような特定の状況で、「否定的な評価をされるかもしれない。」とすごく怖くなり、そのために社会生活を送るのに支障を来たしている、といった感じです。

 

A.他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安。例として、社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人に会うこと)、見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前でなんらかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる。

B.その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)

C.その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する

D.その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる

E.その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない

F.その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6ヶ月以上続く

G.その恐怖、不安、または回避は臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている

H.その恐怖、不安、または回避は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない

I.その恐怖、不安、または回避は、パニック症、醜形恐怖症、自閉スペクトラム症といった他の精神疾患の症状では、うまく説明されない

J.他の医学的疾患(例:パーキンソン病、肥満、熱傷や負傷による醜形)が存在している場合、その恐怖、不安、または回避は、明らかに医学的疾患とは無関係または過剰である

 

以上です。

現在では、大分状態は良くなりましたが、一番苦しかったときは上記の症状がまさに当てはまるような状態でした。

なんでブログを書くに至ったかと言うと、紆余曲折を経ながらも状態が少しずつではありますが良くなってきたので、これまでのことを改めて振り返って書いておくのも悪くないと思ったからです。

次回以降は、私がこれまでどんな症状で悩まされてきたか、どんな対処方法を試みてうまくいったり、うまくいかなかったりしたか、ということを書いていきたいと思います。

 

ブログランキング・にほんブログ村へ